インプラント治療は妊娠中でもできる?考えられるリスクをご紹介
大阪府摂津市 さきがけ歯科クリニック摂津本院
歯科医師 院長 山本 一博です。
インプラント治療は失った歯を補うための優れた方法ですが、妊娠中にこの治療を受けることができるのか、不安に思う方も多いかもしれません。妊娠中は身体が通常とは異なる状態になるため、特別な配慮が必要です。このブログでは、妊娠中のインプラント治療の可否や考えられるリスクについて詳しくご紹介します。
目次
1. インプラント治療の基本
2. 妊娠中のインプラント治療の可否
3. 妊娠中に避けるべき治療
4. 妊娠中の口腔ケアの重要性
5. まとめ
1. インプラント治療の基本
インプラント治療は、失った歯を補うために人工の歯根を顎骨に埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける方法です。外科的手術とともに、長期的なメンテナンスが必要ですが、見た目の自然さや使用感のよさから、多くの方に選ばれています。一般的な治療には数ヶ月を要し、検診や手術、そして仮歯や最終補綴物のセッティングが含まれます。
治療のメリットとしては、他の健康な歯に負担をかけずに補綴ができること、入れ歯に比べて固定力が高く自然な使用感を得られることが挙げられます。しかし、身体への負担や感染リスク、費用の面では注意が必要です。治療費は1本あたり約30万円から50万円と高額になり、保険適用外の場合が多いです。
2. 妊娠中のインプラント治療の可否
妊娠中にインプラント治療を行うことは一般的には推奨されていません。その理由の一つは、インプラント手術が手術室環境で行われ、局所麻酔や場合によっては鎮静薬を使用する必要があるからです。妊娠中はこれらの薬剤が胎児に与える影響が完全には分かっておらず、特に妊娠初期や末期は避けるべきです。
また、妊娠中のホルモンバランスの変化により、骨の状態が不安定になる場合があります。骨密度が低下したり、歯肉が腫れやすくなることがあり、これがインプラントの安定性に影響を及ぼしかねません。このため、多くの歯科医師は、緊急性がない限り妊娠中のインプラント治療を延期することを勧めます。
3. 妊娠中に避けるべき治療
妊娠中は可能な限り計画的ではない手術や侵襲的な処置を避けるべきです。特にインプラント治療のような外科的手術の場合は、感染症のリスクが高いため慎重になる必要があります。レントゲン撮影も通常、胎児への影響を考慮して極力避けるべきとされています。
妊娠中にどうしても歯科治療が必要な場合は、適切な時期と処置内容を検討することが大切です。一般的には、妊娠中期(16週から27週)が比較的安定しているとされ、簡単な処置やケアであればこなすことができますが、事前に必ず産科医とも相談しましょう。
4. 妊娠中の口腔ケアの重要性
妊娠中はホルモンバランスの変化により口腔内の環境が変化します。妊婦さんは歯肉が腫れやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まる傾向があります。そのため、普段以上に口腔ケアを徹底することが重要です。
毎日の丁寧な歯磨きはもちろん、歯間ブラシやフロスを使用して細かい部分まで清掃するよう心掛けましょう。また、疲労やつわりでケアが難しい場合は、無理をせずにできる範囲で取り組むことが大切です。妊婦健診の際には、歯科検診も受けているか産科医に確認をして、適切なケアを続けてください。
5. まとめ
妊娠中のインプラント治療には複数のリスクが伴い、通常は緊急性がない限り延期が推奨されます。妊娠中にはホルモンバランスや身体の状態が通常とは異なり、歯科治療に配慮が必要です。インプラント治療を考えている場合は、治療時期や方法について事前に産科医や歯科医と相談することが重要です。
妊娠中に可能な限り良い口腔内環境を維持して、元気な赤ちゃんを迎える準備を整えましょう。歯科医師は妊娠中の患者さんにも安心して治療を受けられるよう、最善のサポートを提供いたします。気になることがあれば遠慮せずに相談してください。